虫が入りにくい窓にしたい
どんな開き方の窓がよいか迷っている
なんとなくすべり出し窓にしようとしてる
新築やリフォームでの窓選びを進める中で、
「小窓や装飾窓には、なんとなくおしゃれですっきり見える『すべり出し窓』を選べばいいのかな?」と考えていませんか?
実はデザイン性だけで窓を決めてしまうと、住み始めてから
窓を開けるたびに虫が入ってくる
網戸の掃除やお手入れが大変
と後悔することになりかねません。
家づくりにおいて、間取りと同じくらい重要なのが「窓と網戸の関係」です。
結論からお伝えすると、
「窓から虫の侵入を徹底的に防ぎたい!」という方には、
縦・横すべり出し窓よりも「内倒し窓」が圧倒的におすすめです。
特にトイレ・洗面所・脱衣室では、「虫が入りにくい窓」を選ぶことが、住み始めてからの満足度につながります。
コキアこれまで住宅設計を数多く手掛けてきた私ですが、
この記事では一級建築士としての視点から、
内倒し窓・縦すべり出し窓・横すべり出し窓の違いを徹底比較
それぞれの窓の開閉方法や網戸の位置
メリット・デメリット
おすすめの設置場所
まで詳しく解説します。
窓には引違い窓・FIX窓・外倒し窓・上げ下げ窓等いろいろありますが、
本記事では、装飾窓でよく使う
縦(又は)横すべり出し窓・内倒し窓の3種類の窓に焦点を当てて説明しています。
私自身、住宅の設計の際にはLIXILのサッシをよく使うので、
本記事でもLIXIL「サーモス」を例に解説し、
サッシの画像はLIXIL「ハイブリット窓」カタログからお借りしています。
結論:虫の入りにくさを重視するなら、内倒し窓がおすすめ
まずは、今回比較する3つの窓(内倒し窓・縦すべり出し窓・横すべり出し窓)の特徴を一覧表でチェックしてみましょう。
| 比較項目 | 内倒し窓 | 縦・横すべり出し窓 |
|---|---|---|
| 虫の入りにくさ | ◎ | △ |
| 防犯性 | ◎(面格子を付けやすい) | △ |
| 雨の日の換気のしやすさ | ○ | ◎(横すべり出し) |
| デザイン | △ | ◎ |
| 網戸の取り外しやすさ | △ | ○ |



「窓から虫の侵入を徹底的に防ぎたい!」という方には、
縦・横すべり出し窓よりも「内倒し窓」が圧倒的におすすめです!
内倒し窓・縦すべり出し窓・横すべり出し窓の違いを比較
新築の窓選びでよく使われる、これら3つの装飾窓ですが、
最大の違いは「窓がどちらの向きに開くか(室内側か屋外側か)」にあります。


内倒し窓
内倒し窓は名前の通り、室内側に向かって上部がパタンと倒れるように開く窓です。
室内側に開閉スペースが必要になるため、
窓の近くにカーテンやブラインド、家具など干渉するものがないように設計段階で注意を払う必要があります。
縦すべり出し窓・横すべり出し窓
どちらも屋外側(外)に向かってすべり出すように開く窓です。
- 縦すべり出し窓: 窓の縦側を軸にして、外側へドアのように開きます。
通り抜ける風をキャッチして室内に取り込むのに優れています。 - 横すべり出し窓: 窓の上側を軸にして、外側へひさしのように押し出して開きます。
すべり出し窓を設置する際は、
「屋外側に車やカーポートなどの障害物がないか」
「通行人の妨げにならないか」
をしっかり確認しておきましょう。



内倒し窓=「雨が吹き込みやすい」
横すべり出し窓=「室内に雨が降り込みにくい」
という比較ポイントもあります。
内倒し窓・縦すべり出し窓・横すべり出し窓の開閉方法
それぞれの窓は、設置する高さや目的に応じて開閉方法(ハンドルの種類など)が異なります。


内倒し窓の開閉方法
手が届く一般的な高さであれば、窓の上部にある「トップラッチ」を手で下ろすだけで簡単に開閉できます。
ただし、高い位置(ハイサイドライト)に設置する場合は、手が届かないため、専用の「フック棒」を使って引っ掛けるようにして開閉します。
縦すべり出し窓・横すべり出し窓の開閉方法
すべり出し窓には、以下の2種類の開閉ハンドルがあります。
- オペレーターハンドル(ハンドルを回すタイプ)
くるくるとハンドルを回して窓を外に押し出すタイプです。
高い位置にある横すべり出し窓の場合は、チェーンが垂れ下がった「チェーン式オペレーター」を使って開閉します。 - カムラッチハンドル(レバーを押すタイプ)
窓のフレームについているハンドルをグッと押し出して直接窓を開けるタイプです。
構造上、手が届く範囲の高さにしか設置できず、高い位置の窓には不向きです。
内倒し窓とすべり出し窓は網戸の位置が違う
「窓と網戸」の関係は、実は虫対策において最も重要なポイントです。
内倒し窓とすべり出し窓では、
網戸がつく位置が「屋外」か「室内」かで異なります。


- 内倒し窓: 窓が室内側に開くため、網戸は屋外側(外)に固定して設置されます。
- 縦・横すべり出し窓: 窓が屋外側に開くため、網戸は室内側(中)に設置せざるを得ません。



さらに、すべり出し窓は開閉方法によって選べる網戸の種類が変わります。
- オペレータータイプ:
網戸は室内側に「固定」された状態のまま、手前のハンドルを回して奥の窓を開閉できます。 - カムラッチタイプ:
窓のハンドルを直接手で押して開ける必要があるため、固定式の網戸が使えません。
窓を開けた後に、室内側のロール網戸やアコーディオン網戸を引き出す(閉める)という2ステップの動作が必要になります。
内倒し窓は虫が入りにくい!網戸の位置を断面図で比較
なぜ「内倒し窓は虫が入りにくい窓」と言えるのでしょうか?
その理由を、網戸と窓の断面の位置関係から紐解いてみます。


縦・横すべり出し窓の場合、網戸が「室内側」にあることが原因で、
どうしても窓と網戸の間に虫が侵入しやすくなります。
- カムラッチタイプの場合:
窓を開けてから網戸を閉めるまで(又は網戸を開けてから窓を閉めるまで)の「一瞬の隙」に、外から虫が入りたい放題になってしまいます。 - オペレータータイプの場合:
網戸は閉まったままですが、窓を開けている間に「網戸」に虫がくっつくことがあります。
くっついていた虫を室内側(窓と網戸の間)に巻き込んだまま、窓を閉めることになってしまうのです。 - 内倒し窓の場合:
網戸が一番外側(屋外側)でがっちりガードしています。
窓をどれだけ開け閉めしても、網戸より室内に虫が入ってこないため、
虫がくっついていたとしても室内に侵入することはありません。



不快な「網戸 虫」のトラブルを徹底的に防ぎたいなら、
内倒し窓に軍配が上がります。
内倒し窓のメリット・デメリットを一級建築士が解説
ここからは、一級建築士の視点で内倒し窓のメリットとデメリット、
そしてすべり出し窓との比較をさらに深掘りして解説します。
内倒し窓のメリット
最大のメリットは、先ほど挙げた「抜群の虫対策(虫が入りにくい)」です。
そしてもう一つの大きなメリットが「高い防犯性」です。
内倒し窓は構造上、大きく開かないよう制限されていることが多く、外側から人が侵入するのが困難です。
さらに、窓が室内に倒れるため、屋外側に「面格子(めんごうし)」をしっかりと設置できるのも防犯上の強みです。
窓の防犯対策については、コチラ↓の記事で詳しく解説しています


内倒し窓のデメリット
一方で、やはりデメリットも存在します。
まず、すべり出し窓に比べて室内側のサッシフレームがやや大きく、「室内側からの見た目が少しゴツく見える」点です。
すべり出し窓は室内側がすっきりフラットに見えるため、デザイン性を最優先したい場所では劣ってしまうことがあります。
また、メーカー(LIXILの「サーモス」など)の規格サイズにおいて、
すべり出し窓に比べて「選べる寸法(サイズバリエーション)が少ない」という点も、設計時のデメリットになります。


内倒し窓・すべり出し窓の網戸の外し方
大掃除などで網戸を外して洗いたいとき、外しやすさにも違いがあります。
内倒し窓 網戸の取り外し方
●内倒し窓の網戸の取り外し方はこちら
内倒し窓の網戸は、屋外側に固定されているため、取り外す際には、基本的にドライバーを使って金具を緩めるなどのひと手間が必要です。
さらに注意したいのは、窓のサイズ(寸法)によっては「室内側から網戸を取り外せないケースがある」ということです。
1階であれば屋外から外せますが、2階以上の高所に設置する場合は、室内から外せないと掃除が難しくなります。





新築の窓選びの段階で、メンテナンス性も考慮しておきましょう。



※幅の広い内倒し窓を選ぶと、網戸の真ん中に「縦骨(補強の柱)」が入るため、見た目が引き違い窓のようになってしまう点にも注意です。
縦・横すべり出し窓(オペレーター) 網戸の取り外し方
●固定式網戸(フレームレス)の取り外し方はこちら



フレームレス固定式網戸の見た目は非常にすっきりしていますが、
網戸自体が柔らかくふにゃふにゃしているため、取り外して洗う際は破らないように慎重に扱う必要があります。
●固定式網戸(フレーム付)の取り外し方はこちら



しっかりとした枠があるため、取り外しやお手入れが比較的簡単です。
縦・横すべり出し窓(カムラッチ) 網戸の取り外し方
●横引きロール網戸の取り外し方はこちら



くるくると巻き取るタイプで、取り外し自体は難しくありません。
ただし、網戸に虫がついたまま巻き取って収納してしまうと、ボックスの中で虫が潰れてしまうといった衛生面でのデメリットがあります。
内倒し窓はこんな場所におすすめ【トイレ、洗面所、脱衣室】
一級建築士として住宅を設計する際、内倒し窓の特性(防犯性が高い・虫が入りにくい)を活かして、特におすすめしている設置場所が以下の3つです。
1. トイレの窓
「トイレ 窓 おすすめ」として最も推したいのが内倒し窓です。
トイレは換気のために窓を少し開けておきたい場所ですが、同時に防犯面で狙われやすいスポットでもあります。
内倒し窓なら、外に面格子をつけられるため、1階のトイレでも安心して換気ができます。
2. 洗面所の窓
洗濯機や洗面台など、何かと物の多い洗面所ですが、高い位置に内倒し窓を設ける(ハイサイドライト)ことで収納の邪魔になりません。
隣家からの視線を遮りながら、明るさを確保しつつ、換気することができます。
3. 脱衣室の窓
お風呂に隣接する脱衣室も、高い位置に内倒し窓を設けることで、防犯性を担保しつつ、外からの覗き見をしっかり防げます。
脱衣室の窓としておすすめの一つです。
「換気」と「防犯」を両立するための窓選びのコツについては、コチラ↓の記事で詳しく解説しています。





内倒し窓は、室内側に向かって開くので、一般的な部屋だとカーテンとの干渉が問題になりがちなのですが、
水廻りはカーテンを設置しないことが多いので、
内倒し窓が使いやすいですね!
よくある質問
- 内倒し窓にカーテンやブラインドはつけられますか?
-
つけることは可能ですが、窓が室内側に倒れて開くため、窓を開けたときにカーテンやロールスクリーンが窓本体に干渉して押し出されてしまいます。
内倒し窓にウィンドウトリートメントを設置する場合は、窓の開閉を妨げないように、窓枠の外側に取り付けるなどの工夫が必要です。 - 横すべり出し窓と内倒し窓、雨の日の換気に強いのはどちらですか?
-
雨の日に強いのは「横すべり出し窓」です。
外に向かってひさしのように開くため、小雨程度であれば室内に雨が降り込みにくい構造になっています。
一方、内倒し窓は上部が室内に向かって開くため、雨が降ると窓を伝って室内に水滴が入りやすくなります。
まとめ|虫対策を重視するなら内倒し窓がおすすめ
今回は、新築の窓選びで迷いがちな「内倒し窓」と「縦・横すべり出し窓」の違いを、網戸や虫対策の視点を交えて比較解説しました。
最後に重要なポイントを振り返ります。
内倒し窓:
網戸が屋外側にあるため「虫が入りにくい窓」として最強。
さらに面格子が設置できるため防犯性も抜群(トイレ・洗面所・脱衣室に最適)
すべり出し窓:
室内側からの見た目がすっきりしてデザイン性が高く、サイズ展開も豊富。
ただし網戸が室内側にあるため、開閉時の虫の侵入には注意が必要。



デザインの美しさだけでなく、住み始めてからの「虫問題」や「防犯・換気の手間」まで見据えて窓を選ぶことが、後悔しない家づくりの秘訣です。
それぞれのメリット・デメリットを天秤にかけ、あなたの暮らしにぴったりの窓を選んでみてくださいね!











