太陽熱温水器を新設したい
平板式と真空管式で迷っている
水道直結式・自然落下式・強制循環式の違いが分からない
「都市ガスのエリアではないけど、ガス火で調理したくてプロパンガスを選んだ」という方も多いのではないでしょうか!?
しかし、プロパンガスでどうしても気になるのが「毎月の高いガス代」ですよね。
そんな我が家もプロパンガスを使っていますが、
ガス代の節約のために「真空管式」の太陽熱温水器を設置しています。
実は、我が家のすぐ隣に建つ父母の家も、同じプロパンガスを使っていて、こちらは「平板式」の太陽熱温水器を使っています。
コキアかなり似た条件…というより「まったく同じ気象条件」という、これ以上ない環境で、真空管式と平板式のガス使用量をリアルに比較することができました!
この記事では、一級建築士として住宅設計を得意とする筆者が、専門知識とリアルな実測データを交えて、太陽熱温水器の選び方で後悔しないためのポイントを分かりやすく解説します。
最初に整理|太陽熱温水器を比較するポイントは2つある
太陽熱温水器を選ぶとき、多くの方が「メーカー」や「価格」だけで決めてしまいがちですが、それでは後悔の元になります。
製品を正しく比較してライフスタイルに合わせるためには、見るべきポイントが2つあります。
1:集熱方法(太陽の熱をどう集めるか)
・平板式(へいばんしき)
・真空管式(しんくうかんしき)
2:お湯の使い勝手・システム方式(温めたお湯をどう使うか)
・自然落下式(しぜんらっかしき)
・水道直結式(すいどうちょっけつしき)
・強制循環式(きょうせいじゅんかんしき)



この「集熱方法」と「給湯方式」の組み合わせによって、初期費用や、毎日の使い勝手がガラリと変わります。
それぞれの違いを順番に整理していきましょう!
集熱方法の違い|平板式と真空管式のメリット・デメリット
まずは1つ目のポイント「集熱方法」の違いです。
見た目だけでなく、お湯を温める効率に大きな差が出ます。
1. 平板式(へいばんしき)のメリット


平らなパネル形状で太陽光を受ける、昔ながらのスタンダードなタイプです。
構造がシンプルで製造コストが安いため、初期費用を低く抑えられるのがメリットです。
夏場は十分すぎるほどのお湯が沸きますが、冬場は外気によって集熱板が冷まされてしまうため、お湯の温度が上がりにくいという弱点があります。
2. 真空管式(しんくうかんしき)のメリット


魔法瓶のような「二重ガラスの真空管」の中に集熱管が入っている最新のタイプです。
真空層が熱を逃がさない”断熱材”の役割を果たすため、外気温が低い冬場や曇りの日でも効率よくお湯を沸かせるのが大きなメリットです。
「冬のガス代をしっかり削りたい」という方に最適です。
お湯の使い勝手の違い(自然落下式・水道直結式・強制循環式とは)
2つ目のポイントは、温めたお湯を家の中に引き込む「方式(システム)」の違いです。
一般的な仕組みと、メリット・デメリットを分かりやすく比較表にまとめました。
| 給湯方式 | タンクの設置位置 | 仕組みと一般的な説明 | メリットと使い勝手 |
| 自然落下式 | 屋根置き限定 (タンク一体型) | 屋根のタンクから 高低差(重力)でお湯を落下させる、 最もシンプルな方式。 | ・動力(電気)を使わないため トラブルが少ない。 ・基本的には「お風呂のお湯はりのみ」 に独立した蛇口で使う。 |
| 水道直結式 | 地上置き又は 屋根置き (どちらでも可能) (タンク一体型) | 水道管に直結し、 その水圧を利用して 家の中に給湯する方式。 | ・ガス給湯器と接続して使用 ・お風呂だけでなく キッチンやシャワーなど「全ての蛇口」 から太陽のお湯を使える。 |
| 強制循環式 | 集熱機:屋根 タンク:地上 (タンク別置き可能) | 動力ポンプを使って 不凍液を強制的に循環させ、 屋根の熱を地上のタンクに集める方式。 | ・不凍液を使うため、 寒冷地でも凍結せず使用可能。 ・ガス給湯器と接続して 全ての蛇口で快適に使える。 |
今回比較したリアルな実測条件
「父母の家」と「我が家」で、実際にどれくらいガス使用量に差が出るのかを比較しました。
導入しているシステムと、それぞれの家族構成などの条件は以下の通りです。


| 父母の家 | 我が家 | |
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| 太陽熱温水器 | 平板式 × 強制循環式 タンク:分離式 (地上置きタイプ・400リットル) ノーリツ「SKYPIA」 | 真空管式 × 水道直結式 タンク:一体式 (屋根置きタイプ・200リットル) 寺田鉄工所「SUNTOP」 |
| 家族構成 | 2人 (夫婦) | 4人 (夫婦+子2) |
| 浴槽の湯張り | やや多め | 最小設定 |
| 食器洗い | 手洗い (ゴム手袋を使うので、湯は使わない) | 食洗機使用 (給湯機はOFFにして運転) |
| 太陽熱温水器 | 令和4年 交換 | 令和3年 新設 |
【共通する条件】
- 同敷地内(5地域)なので、気象条件や日射量は同じ
- 太陽熱温水器を南向きに設置
- 給湯器24号(高効率型エコジョーズ)
- 同じガス供給会社(プロパンガス)
- ガスの使用は、調理と給湯のみ



我が家の方が人数が多いため、本来ならガス消費量が多くなりやすい条件です。
ガス使用量を比較してみた結果
令和5年のガスの年間使用量を下表にまとめてみました。
(できるだけ正確に把握するため、我が家でガス暖房を本格稼働させた1〜3月のみ、
暖房影響のない前年データに差し替え、ストーブ使用分の明細を補正して算出しています)


プロパンガスの料金に換算すると、年間で約3万3,000円もの節約になります。



8月〜10月に関しては、平板式でも真空管式でもほぼ同じでしたが、
「寒い時期」になるほど、真空管式の方が圧倒的に効率がよいことが実証されました!!
(今回は屋根置きタイプの真空管式と、タンク分離(地上置き)の平板式を比較した結果です。
配管の長さなどにより多少数値は前後しますが、冬の集熱効率は間違いなく真空管式が有利と言えます)
水道直結式よりも強制循環式の方が使い勝手はよい
「真空式」・「平板式」の比較からは話がずれますが、
我が家の「水道直結式」と父母の家の「強制循環式」を比べると、
「強制循環式」の方が圧倒的に使い勝手はよいと感じています。
強制循環式に比べて、我が家の水道直結式には以下のような不便なところ(デメリット)があります。
- 夏はお湯が熱すぎてエラーが出る
給湯器が高温エラーを起こすため、給湯器をONにした状態での「自動お湯張り」ができません。
(一度給湯器をオフにして、手動でお湯張りをする必要があります)。 - 冬の朝は凍結の心配がある
配管が凍結してお湯が出なくなるリスクがあるため、冷え込みが厳しい前の晩には、あらかじめ水栓をひねって「屋根からのお湯を使わない」設定に切り替える手間が発生します。
この点、実家の強制循環式であれば、屋根の上を流れるのは水ではなく「不凍液」なので、どれだけ寒い冬でも凍結とは無縁です。
普通に給湯器を使うのと同じ要領で、ストレスなく蛇口からお湯を使うことができます。
ちなみに設置費用(本体+工事費)は、これくらい違いました。
- 実家(強制循環式・400L大容量):100万円超え
- 我が家(水道直結式・200L):約40万円



強制循環式は、タンクが分離できるので、わざわざ負担のかかる屋根に設置しなくてもよいのも魅力ですよね。
結局どれがおすすめ?後悔のない組み合わせの選び方
それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、予算と使い勝手のバランスから選ぶのが後悔しないコツです。
理想を追求するなら「真空管式 × 強制循環式」
冬でもガッツリ沸いて、凍結の手間も過熱エラーもなく、家中どこでも最高の水圧で使える。
さらに屋根も軽くて済むという、建築士の視点からも、文句なしの最高・最強の組み合わせです。
ただし、「コスト(初期費用)が高い」のが唯一のデメリットです。
現実的なコスパを狙うなら「真空管式 × 自然落下式」
「初期費用を抑えつつ、元はしっかり取りたい!」という場合に現実的でおすすめなのがこの組み合わせです。
給湯方式をあえてシンプルな「自然落下式(お風呂の湯張り専用)」にすることで、
システムが単純になり故障トラブルが激減。
導入費用もグッと抑えられます。
そして集熱部を「真空管式」にしておけば冬場でも熱いお湯がしっかり沸くため、お風呂に貯めるお湯の大部分を太陽熱でカバーでき、非常に満足度の高い運用が可能です。
我が家なら次に選ぶのは?
もし今の太陽熱温水器が寿命を迎え、我が家が次に新しく選ぶとしたら……
予算が許すなら、迷わず「真空管式 × 強制循環式」を選びたい!!!
今の水道直結式もガス代削減効果には満足していますが、
やはり夏・冬の「ちょっとした操作の手間」や「凍結への気遣い」を経験すると、毎日のノンストレスな使い勝手には代えられないな、と実感しているからです。



それぞれの初期費用と、毎日のライフスタイル、そしてメンテナンスの手間を天秤にかけて、後悔のない太陽熱温水器を選んでみてくださいね!!
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